SOFAスコアとは何か

SOFAスコアは1994年にEuropean Society of Intensive Care Medicine(ESICM)が提唱した重症度評価スコアです。もともとは「Sepsis-related Organ Failure Assessment」と呼ばれていましたが、現在は臓器不全全般に使えることから「Sequential」に変更されています。

6つの臓器系(呼吸・凝固・肝臓・循環・神経系・腎臓)それぞれに0〜4点を割り当て、合計を算出します。最高24点で、スコアが高いほど重症です。

📌 Sepsis-3定義(2016年):敗血症とは「感染症に対する宿主反応の制御不能な状態によって引き起こされる、生命を脅かす臓器障害」と定義されました。SOFAスコアがベースラインから2点以上急上昇することが臓器障害の基準として採用されています。

6臓器系のスコア一覧

以下の表に、各臓器系の評価基準とスコアをまとめます。

① 呼吸(PaO₂/FiO₂比)

スコアPaO₂/FiO₂比(mmHg)人工呼吸
0≥400なし
1300〜399なし
2200〜299なし
3100〜199あり
4<100あり

P/F比はARDSの重症度分類(Berlin定義)にも使われる指標です。人工呼吸器下では同じP/F比でも1段階高いスコアになる点に注意が必要です。

② 凝固(血小板数)

スコア血小板(×10³/μL)
0≥150
1100〜149
250〜99
320〜49
4<20

③ 肝臓(ビリルビン値)

スコアビリルビン(mg/dL)
0<1.2
11.2〜1.9
22.0〜5.9
36.0〜11.9
4≥12.0

④ 循環(昇圧薬使用状況)

スコア循環の状態
0MAP≥70 mmHg(昇圧薬なし)
1MAP<70 mmHg(昇圧薬なし)
2ドパミン≤5 μg/kg/min またはドブタミン(いずれかの量)
3ドパミン>5 μg/kg/min またはアドレナリン≤0.1 μg/kg/min またはノルアドレナリン≤0.1 μg/kg/min
4ドパミン>15 μg/kg/min またはアドレナリン>0.1 μg/kg/min またはノルアドレナリン>0.1 μg/kg/min

薬剤師として特に重要なのがこの循環の項目です。昇圧薬の投与速度(μg/kg/min)とSOFAスコアが連動するため、ノルアドレナリンの投与量調整は直接スコアと治療方針に影響します。

⑤ 中枢神経系(GCS)

スコアGlasgow Coma Scale(GCS)
015
113〜14
210〜12
36〜9
4<6

鎮静薬投与中の患者はGCSを正確に評価できないことが多く、鎮静を評価するRASSスコアと合わせて使うのが現場での実践です。

⑥ 腎臓(クレアチニンまたは尿量)

スコアクレアチニン(mg/dL)尿量(mL/日)
0<1.2
11.2〜1.9
22.0〜3.4
33.5〜4.9<500
4≥5.0<200

腎機能の悪化は薬剤師にとって投与量調整の直接的なシグナルです。SOFAの腎スコアが上昇したタイミングで、バンコマイシン・メロペネムなど腎排泄型薬剤の用量を見直す必要があります。

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SOFAスコアの臨床的意義

SOFAスコアは単なる数値ではなく、治療方針の意思決定と予後予測に使われます。

qSOFAとの使い分け

qSOFA(quick SOFA)はSOFAを簡略化した3項目のスクリーニングツールです。

2点以上で敗血症リスクが高いと判断します。qSOFAの特徴は検査値不要・即判定可能な点です。ICU外(救急外来・一般病棟)でのスクリーニングに適しており、qSOFA陽性ならICU入室・血液培養・より詳細なSOFAスコア評価へと進みます。

💡 使い分けの原則:一般病棟・救急 → qSOFAで迅速スクリーニング → ICUでは フルSOFAで毎日評価 → スコアのトレンドで治療効果を判断する

SOFAスコアと薬剤師の役割

ICU病棟薬剤師としてSOFAスコアをどう使うか、私の実践をシェアします。

毎朝のカンファレンスでの活用

SOFAスコアは朝のラウンドで必ず確認します。前日比でスコアが上がっていれば「何の臓器スコアが上がったか」を分析し、薬剤の調整が必要かをチェックします。特に循環スコアが3→4に上がった場合(ノルアドレナリン>0.1μg/kg/minへの増量)は、昇圧薬の投与設計を見直すタイミングです。

腎スコア上昇時の薬剤調整

腎SOFAスコアが2→3以上に上昇したら、腎排泄型薬剤の用量確認と必要に応じた減量提案を行います。バンコマイシンのTDM(治療薬物モニタリング)も強化します。

敗血症認定後のPK/PD最適化

敗血症と診断されたら、抗菌薬の曝露量最適化が重要です。重症例では分布容積が増大し、通常量では有効血中濃度に達しないことがあります。β-ラクタム系はTime above MICの観点から持続投与や頻回投与を提案することがあります。

⚠️ 免責事項:本記事は教育・情報提供を目的としており、個々の患者への医療行為の根拠として使用するものではありません。実際の臨床判断は担当医師・薬剤師の責任のもとで行ってください。

まとめ

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