SOFAスコアとは何か
SOFAスコアは1994年にEuropean Society of Intensive Care Medicine(ESICM)が提唱した重症度評価スコアです。もともとは「Sepsis-related Organ Failure Assessment」と呼ばれていましたが、現在は臓器不全全般に使えることから「Sequential」に変更されています。
6つの臓器系(呼吸・凝固・肝臓・循環・神経系・腎臓)それぞれに0〜4点を割り当て、合計を算出します。最高24点で、スコアが高いほど重症です。
6臓器系のスコア一覧
以下の表に、各臓器系の評価基準とスコアをまとめます。
① 呼吸(PaO₂/FiO₂比)
| スコア | PaO₂/FiO₂比(mmHg) | 人工呼吸 |
|---|---|---|
| 0 | ≥400 | なし |
| 1 | 300〜399 | なし |
| 2 | 200〜299 | なし |
| 3 | 100〜199 | あり |
| 4 | <100 | あり |
P/F比はARDSの重症度分類(Berlin定義)にも使われる指標です。人工呼吸器下では同じP/F比でも1段階高いスコアになる点に注意が必要です。
② 凝固(血小板数)
| スコア | 血小板(×10³/μL) |
|---|---|
| 0 | ≥150 |
| 1 | 100〜149 |
| 2 | 50〜99 |
| 3 | 20〜49 |
| 4 | <20 |
③ 肝臓(ビリルビン値)
| スコア | ビリルビン(mg/dL) |
|---|---|
| 0 | <1.2 |
| 1 | 1.2〜1.9 |
| 2 | 2.0〜5.9 |
| 3 | 6.0〜11.9 |
| 4 | ≥12.0 |
④ 循環(昇圧薬使用状況)
| スコア | 循環の状態 |
|---|---|
| 0 | MAP≥70 mmHg(昇圧薬なし) |
| 1 | MAP<70 mmHg(昇圧薬なし) |
| 2 | ドパミン≤5 μg/kg/min またはドブタミン(いずれかの量) |
| 3 | ドパミン>5 μg/kg/min またはアドレナリン≤0.1 μg/kg/min またはノルアドレナリン≤0.1 μg/kg/min |
| 4 | ドパミン>15 μg/kg/min またはアドレナリン>0.1 μg/kg/min またはノルアドレナリン>0.1 μg/kg/min |
薬剤師として特に重要なのがこの循環の項目です。昇圧薬の投与速度(μg/kg/min)とSOFAスコアが連動するため、ノルアドレナリンの投与量調整は直接スコアと治療方針に影響します。
⑤ 中枢神経系(GCS)
| スコア | Glasgow Coma Scale(GCS) |
|---|---|
| 0 | 15 |
| 1 | 13〜14 |
| 2 | 10〜12 |
| 3 | 6〜9 |
| 4 | <6 |
鎮静薬投与中の患者はGCSを正確に評価できないことが多く、鎮静を評価するRASSスコアと合わせて使うのが現場での実践です。
⑥ 腎臓(クレアチニンまたは尿量)
| スコア | クレアチニン(mg/dL) | 尿量(mL/日) |
|---|---|---|
| 0 | <1.2 | — |
| 1 | 1.2〜1.9 | — |
| 2 | 2.0〜3.4 | — |
| 3 | 3.5〜4.9 | <500 |
| 4 | ≥5.0 | <200 |
腎機能の悪化は薬剤師にとって投与量調整の直接的なシグナルです。SOFAの腎スコアが上昇したタイミングで、バンコマイシン・メロペネムなど腎排泄型薬剤の用量を見直す必要があります。
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ICUスコア計算ツール →SOFAスコアの臨床的意義
SOFAスコアは単なる数値ではなく、治療方針の意思決定と予後予測に使われます。
- 入室時スコア(ベースライン)と比較することが重要:Sepsis-3では「ベースラインから2点以上の急上昇」が敗血症による臓器障害の定義です。もともと腎機能が悪い患者の腎スコアが上がっても敗血症を意味しないため、トレンドの把握が必要です。
- 合計スコアと院内死亡率:SOFAスコア0〜1点で死亡率<10%、9〜11点で約40%、15点以上では50%超という相関が報告されています。
- 薬剤師の介入タイミングの指標:スコアが改善に転じたタイミングでデエスカレーション(抗菌薬の絞り込み)を検討できます。逆に悪化傾向なら抗菌薬・昇圧薬・栄養管理を強化する根拠になります。
qSOFAとの使い分け
qSOFA(quick SOFA)はSOFAを簡略化した3項目のスクリーニングツールです。
- 呼吸数 ≥22 回/分
- 意識障害(GCS<15 または新規発症の意識変容)
- 収縮期血圧 ≤100 mmHg
2点以上で敗血症リスクが高いと判断します。qSOFAの特徴は検査値不要・即判定可能な点です。ICU外(救急外来・一般病棟)でのスクリーニングに適しており、qSOFA陽性ならICU入室・血液培養・より詳細なSOFAスコア評価へと進みます。
SOFAスコアと薬剤師の役割
ICU病棟薬剤師としてSOFAスコアをどう使うか、私の実践をシェアします。
毎朝のカンファレンスでの活用
SOFAスコアは朝のラウンドで必ず確認します。前日比でスコアが上がっていれば「何の臓器スコアが上がったか」を分析し、薬剤の調整が必要かをチェックします。特に循環スコアが3→4に上がった場合(ノルアドレナリン>0.1μg/kg/minへの増量)は、昇圧薬の投与設計を見直すタイミングです。
腎スコア上昇時の薬剤調整
腎SOFAスコアが2→3以上に上昇したら、腎排泄型薬剤の用量確認と必要に応じた減量提案を行います。バンコマイシンのTDM(治療薬物モニタリング)も強化します。
敗血症認定後のPK/PD最適化
敗血症と診断されたら、抗菌薬の曝露量最適化が重要です。重症例では分布容積が増大し、通常量では有効血中濃度に達しないことがあります。β-ラクタム系はTime above MICの観点から持続投与や頻回投与を提案することがあります。
まとめ
- SOFAスコアは6臓器系(呼吸・凝固・肝・循環・神経・腎)を各0〜4点で評価する重症度スコア
- Sepsis-3定義ではベースラインから2点以上の急上昇が敗血症による臓器障害の基準
- ICU外での迅速スクリーニングにはqSOFA(3項目・検査不要)を使う
- スコアのトレンドを毎日追うことで治療効果の判定・薬剤調整のタイミングを把握できる
- 薬剤師は特に循環スコア(昇圧薬)と腎スコア(用量調整)に注目して介入する
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